社内AIとは?できることと3つの作り方・導入の手順と注意点を解説

社員が各自で生成AIを使い始めたものの、会社として社内向けのAIを用意すべきか迷っている方も多いのではないでしょうか。社内の文書を読ませたいと考えても、作り方と情報の扱いが分からず、検討が止まっている場面もあるはずです。
この記事では、社内AIの意味・できること・3つの作り方・導入の手順・注意点を、公的な調査と国のガイドライン・企業の公式発表に沿って解説します。
記事を読めば、自社に合う社内AIの作り方を選び、最初の一歩を決められる状態です。結論は、多くの会社は法人向けの生成AIサービスの契約から始めれば足ります。社内の文書とつなぐ前に、見せてよい範囲と入力のルールを決めましょう。
社内AIとは社内の業務と情報に合わせて使うAI
社内AIの基本は、以下の3つで押さえます。
- 会社が社員向けに用意したAIの仕組みを指す
- 個人の利用との違いは社内の情報を安全に扱える点
- 大企業を中心に全社での活用が進んでいる
会社が社員向けに用意したAIの仕組みを指す
社内AIは、会社が社員向けに用意し、社内の業務で使うAIの仕組みを指す言葉です。公的な定義はありません。
社内専用のチャット・社内の文書を探して答える仕組み・社内の問い合わせに答える仕組みなどが含まれます。社内GPTや社内AIアシスタントとも呼ばれます。
個人の利用との違いは社内の情報を安全に扱える点
社員が個人で契約した生成AIには、社外に出せない情報を入力できません。社内AIは、会社が契約と設定を管理するため、決めた範囲で社内の情報を扱えます。
IPAの「DX動向2025」によると、生成AIを個人で業務に使っている日本企業は62.1%でした。部署の業務のプロセスに組み込んでいる企業は、13.1%にとどまります。
大企業を中心に全社での活用が進んでいる
パナソニック コネクトは、自社向けのAIアシスタントを開発し、国内の全社員約11,800人に広げています。2025年度のAI活用による労働時間の削減効果は78.8万時間で、年間の総労働時間の3.4%に当たると発表されました。
三井住友フィナンシャルグループは2023年4月に、グループ専用の環境で動くAIアシスタントの実証を始めると発表しています。情報が社外に流出しない環境で、社内の従業員だけが使える形です。
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社内AIでできること
社内AIでできることは、以下の4つです。
- 社内の文書を探して質問に答える
- 社内の問い合わせへの回答を助ける
- 文書の作成と会議の記録を効率化する
- 定型の業務を自動で進める
社内の文書を探して質問に答える
代表的な使い方は、社内の文書を探して答えることです。規程・マニュアル・過去の提案書などをAIに参照させ、社員の質問に答えさせます。
総務省と経済産業省のAI事業者ガイドラインは、外部の情報の検索を文章の生成に組み合わせる仕組みの活用が広がっていると説明しています。仕組みの名前は、RAG(検索拡張生成)です。
社内の問い合わせへの回答を助ける
経費の精算の方法や、ITの設定の手順など、社内の問い合わせへの回答にも使えます。担当の部署に同じ質問が繰り返し届く負担を減らせます。
AI事業者ガイドラインの別添が紹介しているのが、RAGを活用した庁内のFAQを利用している神戸市の例です。
文書の作成と会議の記録を効率化する
資料の下書き・文章の要約・会議の記録は、どの部署にもある作業です。LINEヤフーは2025年7月に、全従業員約11,000人を対象として、生成AIの活用を前提にした働き方を始めると発表しました。
社内の会議の議事録の作成は、すべてAIで行うとしています。
定型の業務を自動で進める
AIが複数の手順を自分で進めるAIエージェントを使うと、定型の業務を自動で進められます。問い合わせの内容を分類して担当に振り分ける作業や、資料から必要な項目を抜き出して表にまとめる作業が例です。
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社内AIの3つの作り方
社内AIの作り方は、以下の表の3つです。
| 作り方 | 内容 | 向いている会社 |
|---|---|---|
| 法人向けのサービスを契約する | 管理の機能がある生成AIを人数分契約する | まず全社で使える環境を整えたい |
| 社内の文書とつなぐ | 契約したAIに社内の文書を参照させる | 社内の情報をもとに答えさせたい |
| 自社専用の仕組みを作る | 自社の業務に合わせて開発する | 既製のサービスでは足りない |
作り方ごとの特徴は、以下の3つです。
- 法人向けの生成AIサービスを契約する
- 契約したAIを社内の文書とつなぐ
- 自社専用の仕組みを開発する
法人向けの生成AIサービスを契約する
最も始めやすい作り方は、法人向けの生成AIサービスの契約です。管理者がメンバーと設定を管理でき、入力した内容を学習に使わない条件で使えます。
ClaudeのTeamプランは、2人から150人までのチーム向けです。料金は、年払いで1人あたり月20ドルです。初期の設定で、入力した内容はAIの学習に使われません。
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契約したAIを社内の文書とつなぐ
法人向けのサービスには、社内の文書や業務のツールとつなぐ機能があります。ClaudeのTeamプランの場合は、資料と会話をチームで共有するプロジェクトの機能です。
Google Drive・Microsoft 365・Slackなどの情報を検索するコネクタも用意されています。開発をしなくても、社内の情報をもとに答えるAIを作れる点が利点です。
自社専用の仕組みを開発する
既製のサービスでは足りない場合は、自社専用の仕組みを開発します。既存の業務システムとつなぐ場合や、専用の画面が必要な場合です。
社外に一切出せない情報を扱う場合は、自社のPCやサーバーでAIを動かすローカルLLMも選択肢になります。
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社内AIを導入する手順
社内AIを導入する手順は、以下の5つです。
- 使う業務と目的を決める
- 入力のルールと見せてよい範囲を決める
- 法人向けのサービスを少人数で試す
- 社内の文書を整えてつなぐ
- 利用の状況を確かめて全社に広げる
使う業務と目的を決める
最初に、どの業務の何を楽にするのかを決めます。社内の問い合わせへの回答や、資料の作成など、効果を確かめやすい業務から選んでください。
入力のルールと見せてよい範囲を決める
AIに入力してよい情報と、AIに参照させてよい文書の範囲を決めます。人事の情報や経営の未公開の情報など、一部の人しか見てはいけない文書の扱いを先に決めておきます。
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法人向けのサービスを少人数で試す
次に、法人向けのサービスを1つの部署などの少人数で試します。使い方の例を集め、困った点を記録してください。
社内の文書を整えてつなぐ
効果を確かめたら、社内の文書をつなぎます。古い版の文書や、内容が重なる文書が混ざっていると、AIの回答も不正確になります。
参照させる文書は、最新の版にそろえてからつないでください。
利用の状況を確かめて全社に広げる
使われている回数や、役に立った業務を確かめながら、対象を広げます。パナソニック コネクトは、利用回数や削減した時間を毎年公表しています。
社員への教育も、あわせて進めましょう。
社内AIの注意点
社内AIの注意点は、以下の4つです。
- 見せてはいけない文書をAIが参照しないようにする
- 参照させる文書を定期的に点検する
- AIの回答をそのまま信じない
- 社員が個人のAIを使い続けないようにする
見せてはいけない文書をAIが参照しないようにする
社内の文書とつなぐときは、閲覧の権限に注意が必要です。AI事業者ガイドラインは、外部のデータと連携する場合、意図しない範囲に重要な情報が漏れる危険性が高まると指摘しています。
対策に挙げられているのは、アクセスの制限の適用です。利用者に与える権限を、業務に必要な最小限にすることも求められています。
参照させる文書を定期的に点検する
参照させる文書が書き換えられると、AIの回答も変わります。ガイドラインは、検索して参照するデータの不正な変更を早く見つけるために、定期的な管理と監査を検討するよう促しています。
文書の管理の担当者を決め、古い文書を外す作業を続けてください。
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AIの回答をそのまま信じない
社内の文書を参照させても、AIが誤った回答をする場合はあります。回答のもとになった文書を表示させ、重要な判断の前には原文を確かめる運用にします。
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社員が個人のAIを使い続けないようにする
社内AIを用意しても、使いにくいと社員は個人のAIを使い続けます。パナソニック コネクトは、自社向けのAIアシスタントの目標の1つに、会社が認めていないAIを使うシャドーAIのリスクの軽減を掲げていました。
会社が認めたAIを使いやすくすることが、情報を守ることにつながります。
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社内AIのよくある質問
社内AIについてよく出る疑問は、以下の4つです。
- 社内AIとは何ですか?
- 会社でAIを使ってもよいですか?
- 社内のデータはAIの学習に使われますか?
- 中小企業でも社内AIは作れますか?
社内AIとは何ですか?
会社が社員向けに用意し、社内の業務で使うAIの仕組みです。社内専用のチャットや、社内の文書を探して答える仕組みが含まれます。
会社でAIを使ってもよいですか?
会社のルールによります。会社が認めたAIを、決められた範囲で使うことが基本です。ルールがない場合は、上司か情報システムの担当に確かめてください。
社内のデータはAIの学習に使われますか?
契約するプランによって違います。ClaudeのTeamプランは、初期の設定で、入力した内容を学習に使いません。
個人向けのプランは扱いが違う場合があるため、契約の前に確かめる必要があります。
Claudeに学習させない設定を解説!Claude Code・法人での扱いも紹介
中小企業でも社内AIは作れますか?
作れます。2人から契約できる法人向けの生成AIサービスがあるので、小さな会社でも始められる形です。
開発をしなくても、資料を共有する機能や社内のツールとつなぐ機能で、社内の情報をもとに答えるAIを用意できます。
社内AIは法人向けのサービスの契約から始めましょう
社内AIは、会社が社員向けに用意して社内の業務で使うAIの仕組みです。作り方は、法人向けのサービスの契約・社内の文書との連携・自社専用の開発の3つがあります。
まずは、使う業務と入力のルールを決め、法人向けのサービスを少人数で試しましょう。社内の文書をつなぐ前に、AIに見せてよい範囲を必ず確かめてください。



