AI活用

AIで業務効率化した事例を解説!効果が出る業務と進め方も紹介

中島大介(なかじ)読了時間 約17分
AIによる業務効率化の事例のアイキャッチ

人手が足りないなかでAIによる業務効率化を任されたものの、どの業務に使えば効果が出るのか分からず、手が止まっていないでしょうか。事例を調べても、削減時間の根拠がはっきりしない話が多く、自社の計画に落とし込みにくいはずです。

この記事では、AIによる業務効率化の現状・効率化できる業務・公的機関と企業の事例・効果を出すポイント・進め方・つまずきやすい点を、公的な調査や各組織の公式発表に沿って解説します。

記事を読めば、自社のどの業務からAIを使い、どう効果を測ればよいかを決められる状態です。結論は、文章の作成や要約など効果が出やすい業務から小さく始め、削減できた時間を測りながら使い方を社内で共有していく進め方が成果につながります。

AIによる業務効率化の現状

中小企業基盤整備機構が2026年3月に公表した実態調査から、中小企業のAI活用の現状をまとめると以下の表のとおりです。

項目結果
AIを導入している企業20.4%
導入を予定・検討している企業18.6%
導入目的の1位業務効率化・作業時間の短縮(87.0%)
導入効果の1位業務効率化・作業時間の短縮(83.2%)
導入済みのAIの1位生成AI(82.6%)

調査から読み取れるポイントは以下の4つです。

  • AIを導入した中小企業は約2割にとどまる
  • 導入目的の9割近くが業務効率化と作業時間の短縮
  • 導入が最も進んでいるのは総務・管理部門
  • 活用事例の情報が足りないと感じる企業が8割を超える

AIを導入した中小企業は約2割にとどまる

調査は全国の中小企業10,000社を対象に行われ、1,668社から回答を得ています。AIを全社的に導入している企業と、一部の業務で導入している企業を合わせた導入率は20.4%でした。

導入を予定・検討している企業の18.6%と合わせると、39.0%がAIの導入に前向きです。導入済みの企業はまだ少数派で、今から始める企業にも十分に機会があります。

導入目的の9割近くが業務効率化と作業時間の短縮

AIを導入した目的は、業務効率化・作業時間の短縮が87.0%で最も多く、2位の品質向上(32.3%)を50ポイント以上引き離しています。導入の効果でも、業務効率化・作業時間の短縮が83.2%で突出していました。

目的と効果の両方で1位になっており、期待どおりの成果を得ている企業が多いことが分かります。

導入が最も進んでいるのは総務・管理部門

業務の部門別に見ると、導入率は総務・管理部門が68.3%で最多でした。次いで営業・販売・サービス部門が60.3%、経営・企画部門が58.5%、製造・生産部門が34.9%の順です。

導入済みのAIの種類は生成AIが82.6%で最も多く、2位の音声認識・音声対話AI(29.8%)を大きく上回っています。事務作業の多い部門と、文章や資料を作る生成AIの相性の良さがうかがえます。

活用事例の情報が足りないと感じる企業が8割を超える

AIやITの導入について、成功事例や活用事例などの情報が不十分と答えた企業は83.3%に上りました。必要な公的支援でも、導入事例などの情報提供(70.5%)が、導入費用などの助成(77.9%)に次いで求められています。

多くの企業が、費用と同じくらい「何に使えばよいか」の情報を必要としています。

AIで効率化できる業務

東京都が2023年に職員を対象に行ったアンケートでは、文章生成AIの用途としてアイデア出しや文章作成が多く挙がりました。同調査と都の活用事例集をもとに、効率化しやすい業務を並べると以下の5つです。

  • 文案の作成と文章の校正
  • 長い文章や会議メモの要約
  • アイデア出しと考えの整理
  • メールや広報文の作成
  • 表計算の関数やマクロの作成

文案の作成と文章の校正

東京都のアンケートで、利用者の用途として特に多かったのが文案作成・文章校正です。都の活用事例集には、適切なフレーズの提案・誤字脱字の修正・説明資料の作成の例が載っています。

ゼロから書き始める負担が減り、たたき台を直す作業に時間を使えるようになります。

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長い文章や会議メモの要約

要約も、利用者の多い用途の1つです。事例集には、文章の要約のほか、会議メモから報告用の文章を作る例が含まれています。

パナソニック コネクトも、ファイルを使った議事録作成の利用が広がったことを、削減時間が増えた要因に挙げています。

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アイデア出しと考えの整理

東京都のアンケートで最も多かった用途は、アイデア出しでした。職員からは、アイデア出しのために人を集めて行っていた打ち合わせをAIが代わりにやってくれ、無駄な打ち合わせの削減につながったとの声が寄せられています。

考えがまとまらないときに箇条書きを渡して整理させる使い方も、時間の短縮につながった例として紹介されています。

メールや広報文の作成

事例集には、話し言葉からビジネスメールを作る・お礼の文を作る・メール文を校正する例があります。プレスリリースの作成や、SNSの文章の炎上リスクを確かめる使い方も載っています。

定型的な文章ほど、書式や敬語をAIに任せて人が内容の確認に集中しやすい作業です。

表計算の関数やマクロの作成

Excelやスプレッドシートの関数を作らせる使い方も、事例集に含まれています。アンケートでも、マクロやVBAなどのローコードの生成が用途に挙がりました。

職員からは、Officeソフトの操作や設定について、検索エンジンより早く的確な答えが得られるとの声が出ています。

AIによる業務効率化の事例

公的機関と企業の事例を並べると、以下の表のとおりです。

組織取り組み公表された結果
東京都文章生成AIを全局で利用利用職員の73%が業務時間の短縮を実感
デジタル庁国と自治体の職員で技術検証利用者の90%以上が効果ありと回答
パナソニック コネクト全社員向けのAIアシスタント2025年度に78.8万時間を削減
LINEヤフー生成AIの活用を義務化調査・資料作成・会議の使い方をルール化

各事例の内容は以下の4つです。

  • 東京都は利用職員の73%が業務時間の短縮を実感
  • デジタル庁の検証では利用者の90%以上が効果ありと回答
  • パナソニック コネクトは年間78.8万時間を削減
  • LINEヤフーは共通業務でAIの使い方をルール化

東京都は利用職員の73%が業務時間の短縮を実感

東京都は2023年8月に文章生成AIの全局での利用を始め、同年10月に職員アンケートを行いました。回答数は4,072で、利用している職員に限ると66%が仕事の効率が向上したと答えています。

業務時間が短縮されたと答えた職員は73%でした。1週間あたりの短縮時間は、10分程度が24%・30分程度が22%・1時間程度が13%・1時間超が14%です。業務の質が向上したと感じた職員も63%に上りました。

デジタル庁の検証では利用者の90%以上が効果ありと回答

デジタル庁は、2023年12月から2024年3月にかけて、行政での生成AIの活用に向けた技術検証を行いました。検証の環境は、13の府省庁と26の自治体の職員767人に提供され、9つのユースケースで有用性が検証されています。

公表された報告によると、利用者調査では90%以上が業務効率化と成果物の品質に効果があると答えました。報告は委託事業者の最終報告書にもとづくもので、解釈は事業者によるものと明記されています。

パナソニック コネクトは年間78.8万時間を削減

パナソニック コネクトは、国内の全社員約11,800人に自社向けのAIアシスタントを提供しています。同社の2026年7月の発表によると、2025年度の削減時間は78.8万時間で、年間の総労働時間の3.4%に当たります。

利用回数は361万回、1回あたりの削減時間は33分でした。議事録作成・コード生成・ログ分析・提案書作成の支援・設計書や仕様書の作成で利用が広がっています。

LINEヤフーは共通業務でAIの使い方をルール化

LINEヤフーは2025年7月、全従業員約11,000人を対象に、生成AIの活用を前提にした働き方を始めると発表しました。従業員の業務の3割を占める調査・検索・資料作成・会議から着手しています。

「まずはAIに聞く」「ゼロベースの資料作成は行わない」のように、場面ごとの使い方を具体的なルールにした点が特徴です。今後3年間で業務生産性を2倍に高めることを目指しています。

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事例から分かる効果を出すポイント

事例に共通する、効果を出すためのポイントは以下の4つです。

  • 効果が出やすい共通業務から始める
  • そのまま使えるプロンプトの例を配る
  • AIの回答は人が確かめてから使う
  • 入力データが学習に使われない環境を用意する

効果が出やすい共通業務から始める

LINEヤフーが最初に着手したのは、どの部署にもある調査・資料作成・会議でした。中小企業の調査でも、導入が最も進んでいるのは総務・管理部門です。

特定の部署だけの特殊な業務より、全員が毎日行う文章作成や要約のほうが、短縮できる時間の合計は大きくなります。

そのまま使えるプロンプトの例を配る

東京都は、アンケートで「どのような業務に活用できるのかわからない」との声が多かったことを受けて、34の活用事例とプロンプトをまとめた事例集を作りました。プロンプトは、AIから応答を引き出すための指示文です。

デジタル庁の検証でも、利用者を増やすには研修に加えて、業務に応じたプロンプトなどをセットで提供する必要があると報告されています。使い方の例を先に用意すると、最初の一歩を踏み出しやすくなります。

AIの回答は人が確かめてから使う

東京都は、文章生成AIの利用ルールとして、回答の根拠や裏付けを必ず自分で確かめることを定めています。事例集でも、生成された回答はそのまま使わず、職員が内容を確かめて必要に応じて手を加えるよう求めています。

AIの回答はあくまでたたき台で、仕上げと責任は人が担う前提です。

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入力データが学習に使われない環境を用意する

東京都は、入力データが学習目的で利用されず、サーバー側に保存もされない環境を用意したうえで全局での利用を始めました。あわせて、個人情報など機密性の高い情報は入力しないルールも定めています。

安全な環境とルールを先に整えると、職員は迷わずに使えます。会社で使う場合も、法人向けのプランや専用の環境を選びましょう。

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AIによる業務効率化の進め方

自社でAIによる業務効率化を進める流れは以下の5ステップです。

  • 時間がかかっている業務を洗い出す
  • 1つの業務で小さく試す
  • 削減できた時間を測る
  • うまくいった使い方を社内で共有する
  • 対象の業務と部署を広げる

時間がかかっている業務を洗い出す

最初に、各部署で時間がかかっている業務を書き出します。文章の作成・要約・メール・資料作成など、AIが得意な作業が多く含まれる業務を候補にしてください。

毎日または毎週繰り返す業務ほど、短縮の効果が積み上がります。

1つの業務で小さく試す

候補のなかから1つの業務を選び、少人数で試します。議事録の作成や定型メールの下書きのように、結果を確かめやすい業務が向いています。

試すときは、入力してよい情報の範囲を先に決めておきましょう。

削減できた時間を測る

試した結果は、時間で測ります。東京都のように、1週間でどれくらい業務時間が短縮されたかをアンケートで尋ねる方法なら、手間をかけずに把握できます。

パナソニック コネクトのように、利用回数と1回あたりの削減時間を掛け合わせて全体の削減時間を出す方法も有効です。測った数字は、次の投資の判断材料になります。

うまくいった使い方を社内で共有する

効果が出た使い方は、プロンプトの例とあわせて社内に共有します。東京都は、積極的に使っている職員を集めた勉強会を開き、参加者が作ったプロンプトも事例集に載せました。

現場の成功例は、まだ使っていない人にとって最も分かりやすい手本です。

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対象の業務と部署を広げる

1つの業務で効果を確かめたら、対象を広げます。慣れてきたら、社内の文書や業務データとAIをつなぐ使い方も検討しましょう。

パナソニック コネクトは、経理や営業の業務システムのデータとAIの連携を進め、2030年に総労働時間の10%削減を目指すとしています。

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AIによる業務効率化でつまずきやすい点

調査や事例から読み取れる、つまずきやすい点は以下の3つです。

  • どの業務に使えばよいか分からない
  • 使っても時間が短縮されない人がいる
  • 回答の正確さに不安が残る

どの業務に使えばよいか分からない

東京都のアンケートで、文章生成AIを利用していない理由として最も多かったのは「どの業務に利用したらよいかわからない」でした。中小企業の調査でも、活用事例の情報が不十分と答えた企業が83.3%に上っています。

道具を配るだけでは使われません。自社の業務に合わせた使い方の例を示すことが、利用を広げる出発点です。

使っても時間が短縮されない人がいる

東京都のアンケートでは、利用している職員の27%が、業務時間はほとんど短縮されていないと答えました。使い始めた人の全員が、すぐに効果を感じるわけではありません。

効果が出ている人の使い方を共有し、向いている業務に絞って使ってもらうと、短縮を実感する人を増やせます。

回答の正確さに不安が残る

東京都のアンケートでは、利用していない理由に「回答が正確性や信頼性に欠ける」も挙がりました。AIは、事実と異なる内容をもっともらしく出力することがあります。

事実の確認が必要な業務では、根拠になる資料を渡して答えさせ、人が確かめる手順を入れてください。

AIによる業務効率化のよくある質問

AIによる業務効率化についてよく出る疑問への回答は以下の4つです。

  • AIで効率化できる業務は何ですか?
  • 事務の業務を効率化するにはどうすればいいですか?
  • 中小企業でも効果は出ますか?
  • どのAIツールを使えばいいですか?

AIで効率化できる業務は何ですか?

文案の作成・文章の校正・要約・アイデア出し・メールの作成・表計算の関数の作成などです。東京都の職員アンケートでも、アイデア出しと文案作成・文章校正が特に多く使われていました。

一方、最新の事実を調べる用途や正確な数字が必要な計算は、AIの回答だけに頼らないようにしましょう。

事務の業務を効率化するにはどうすればいいですか?

毎日繰り返す文章の作業から始めるのが近道です。メールの下書き・会議メモの要約・定型文書のたたき台の作成は、結果を確かめやすく、効果も実感しやすくなります。

中小企業の調査でも、AIの導入が最も進んでいるのは総務・管理部門でした。

中小企業でも効果は出ますか?

出ています。中小企業基盤整備機構の調査では、AIを導入した中小企業の83.2%が、業務効率化・作業時間の短縮の効果を挙げました。

導入している企業はまだ約2割のため、早く始めるほど他社との差をつけられます。

どのAIツールを使えばいいですか?

文章の作成や要約が中心なら、ChatGPTやClaudeなどのチャット型の生成AIが出発点になります。中小企業の調査でも、導入済みのAIは生成AIが82.6%で最多でした。

会議の議事録なら会議ツールのAI機能など、業務に合わせた道具もあります。業務で使う場合は、入力データが学習に使われない法人向けのプランを選んでください。

AIによる業務効率化は効果が出やすい業務から小さく始めましょう

AIによる業務効率化は、中小企業でも導入した企業の8割超が効果を挙げています。東京都では利用職員の73%が業務時間の短縮を実感し、パナソニック コネクトは年間78.8万時間を削減しました。

効果が出やすいのは、文案の作成・要約・アイデア出しなどの共通業務です。まずは1つの業務で小さく試し、削減できた時間を測りながら、うまくいった使い方を社内で共有していきましょう。

この記事の監修者

中島大介(なかじ)

中島大介(なかじ)

株式会社メリル 代表取締役 / 記事監修

株式会社メリル代表取締役。SEO歴20年以上。最新AIやセキュリティについて発信するYouTube「ウェブ職TV」は登録者15万人以上。著書「ChatGPT & Copilotの教科書」は10万部突破!

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